初心者の懸垂トレーニング

ダンベルトレーニングやマシンでは、各部分別に筋肉を鍛えなければなりませんが、懸垂では一度にいろいろな部位の筋肉が鍛えられ、一石二鳥、三鳥の効果があります。

 目次 |  懸垂の運動効果 |  懸垂でトレーニング |  懸垂が1回もできない場合の方法 |  筋肉があるのに懸垂ができない原因 |  懸垂器具 |  上級者の懸垂トレーニング

懸垂の運動効果
懸垂では上腕や前腕、肩、胸筋、腹筋、背筋などがバランスよく鍛えられますが、特に、広背筋(肩甲骨の下あたり)、三角筋(後部)、上腕二頭筋、上腕三頭筋、前腕の筋肉が大きくなります。
懸垂でけでは大胸筋がムキムキになったり、腹筋が割れるということはありませんが、肩幅が広くなって逆三角形の体になり、服のサイズがどんどん大きくなっていきます。
また、懸垂では、ある程度まで筋肉がついた後は、筋持久力がかなりつきます。結果、腕や肩の毛細血管が発達して血行がよくなり、筋肉の回復が早くなったり、肩こりなどはなくなります。

回数と筋力
懸垂のトレーニングを続けていけば、徐々に回数が増えていきます。
10回くらいできるようになるまでは筋肉が大きくなっていきますが、楽に10回以上できるようになると筋肉はこれ以上大きくならずに、筋持久力がついていきます。
さらに懸垂で筋肉をつけるには、負荷を大きくする必要があります。

懸垂でトレーニング

鉄棒の握り方
鉄棒の握り方には、主に順手(オーバーグリップ)と逆手(アンダーグリップ)があります。
基本的には順手で手棒を握り、背筋が使われるように行いますが、初めのうちはやりやすい方で行うとよいです。
逆手で行うと腕の力がより使われるので、懸垂に慣れていない人は逆手で握ると行いやすいかもい知れません。

順手で懸垂
(オーバーグリップ)
逆手で懸垂
(アンダーグリップ)

懸垂(チンニング)のしかた
①両手の間隔を肩幅より広くして、鉄棒にぶらさがります。(図1)
②頭が鉄棒より上に出るくらいまで体を引き上げ(図2)、ゆっくりと下ろします。

図1 図2





懸垂が1回もできない場合の筋トレ方法

筋力がなくて懸垂ができない場合
筋トレをほとんどしたことのない人は、基本的な筋力がないので、腕立て伏せやダンベルカールなどである程度鍛えなければなりません。
背筋を鍛えなければ懸垂はできないと思われるかも知れませんが、懸垂で体を持ち上げるには腕や胸の筋肉の方が重要とも言えます。
特に背筋を鍛えなければならないということはありません。
腕立て伏せが楽に20回くらいできるようになれば、懸垂で体が持ち上がるようになり、背筋も鍛えられていきます。

斜め懸垂よりも腕立て伏せ
斜め懸垂は広背筋を効率よく鍛えられる種目で、懸垂ができない人のトレーニングに最適とされています。
しかし、斜め懸垂でトレーニングを続けて、初めて懸垂ができるようになった人などいるのでしょうか?
男性の場合、運動部に入っている(入っていた)人なら、このようなことをしなくてもできるものです。
懸垂ができない人は広背筋が弱いのではなく、体全体の筋力が弱いのです。
特殊なトレーニングをするよりも、まずは、筋トレの基本である腕立て伏せで腕や胸を鍛えた方がはるかに効果的です。腕立て伏せでも広背筋は使われています。

筋肉があるのに懸垂ができない原因
トレーニングをしていて、筋肉があるのに、懸垂が1回もできないという人がいます。
なぜできないかというと、懸垂では上半身の様々な筋肉を協調させることが必要だからです。
筋肉があるのに懸垂ができないという人は、腕や肩、胸筋や背筋など、個別には鍛えているが、それらの筋肉をうまく連動させることができないのが原因かも知れません。

筋肉を協調させる筋トレ方法
筋肉があるのに懸垂ができない場合は、筋肉間協調をよくするために、懸垂でトレーニングをすることが必要です。
1回もできないのに、どうやってトレーニングをするんだと思われるかもしれませんが、1回もできなくても懸垂でトレーニングする方法があります。
それは、台などに乗って体が持ち上がっている状態から、体を下ろしていく方法です。
体を持ち上げることができなくても、ゆっくり下ろすことができるのは、体を持ち上げる時(ポジティヴワーク)よりも、体を下ろす時(ネガティヴワーク)の筋力の方が1.3倍ほど強いからです。
このトレーニングでは、懸垂で必要な筋肉が協調して使われ、筋肉は太くなりませんが、筋肉が出せる力(筋動員力)を高めることができます。
負荷を掛けるためには、できるだけゆっくりと体を下ろしていくことが大切です。

筋動員力とは?
細身なのに力が強い人とマッチョなのに見た目ほど強くない人がいますが、これは力を発揮するときに、どれだけ筋線維を動員できるか(筋動員力)の違いによります。
筋肉量が多いからといって、筋力が大きいとは限りません。
筋動員力を高めるには、最大筋力の90~100%の大きな負荷でトレーニングすることが必要です。
懸垂ができない人にとって、体が持ち上がっている状態から体を下ろしていくことは、大きな負荷でのトレーニングになり、筋動員力を高めることができます。




懸垂器具
体重や将来的に負荷を考えて、自分に合った耐荷重(体重制限)の器具を選びましょう。シットアップベンチが付いたものは、単体のシットアップベンチと比べると簡単なつくりなので、使い勝手はよくありません。
ぶら下がり健康器での代用はしないほうがよいです。(懸垂はしないようにと注意書きしているものもあります)。

懸垂器具 アイアンジム

自作の懸垂器具

私の場合は鉄棒のあるところへ行くのが面倒なので、このような棚の材料で懸垂をするための器具をつくりました。
部屋が狭いと邪魔にはなりますが、すぐ目の前にあり、いつでも好きなときにできるので、スポーツジムなどに行くよりはるかに効率的です。
体重は65kgほどで、3日に100回ほど行い、30年近くたちますが、壊れることなく今も使っています。
使っていないときは洗濯物を干すこともできます。以前は懸垂器具の価格が高かったので自作しましたが、今は自作するよりも価格が安く安全です。